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お金と制度

2026年の年収の壁まとめ。時給の高い医療職ほど「130万円」に先に当たる

178万円、136万円、130万円、週20時間。どれが自分に効くかは時給で変わります。看護師パートの平均時給1,933円なら、先に来るのは社会保険の130万円です。

文・クーラ編集部··約7分で読めます

この記事の要点

  • 所得税がかからない上限(給与収入だけの場合)は、2025年分160万円、2026年分と2027年分は178万円。2026年分は12月の年末調整でまとめて反映されます。
  • 配偶者控除・扶養控除の対象になる年収の上限は、2026年分から136万円。配偶者特別控除が満額(38万円)のままなのは169万円までです。
  • 社会保険の扶養の「130万円」は残ります。2026年4月からは、労働条件通知書などの契約内容から見込む年収で判定します。
  • 「106万円(月8.8万円)」の要件は2026年10月に撤廃される予定です。その後は、従業員51人以上の会社で週20時間以上働くと社会保険に加入します。
  • 看護師パートの平均時給1,933円なら、月56時間ほどで130万円に届きます。週20時間より前に扶養の上限が来る計算です。
目次(6)
  1. 2026年の主な壁は5つ
  2. 税金の壁:178万円と136万円
  3. 社会保険の壁:130万円と週20時間
  4. 医療職の時給で計算すると、どの壁が先に来るか
  5. 夜勤がある人、通勤手当がある人は
  6. どう決めるか

「103万円の壁が178万円になったらしい」。そんな話を聞いて、シフトを増やそうか迷っている人もいるかもしれません。ただ、時給の高い医療職のパートでは、178万円より先に別の壁に当たることが多いのです。

年収の壁は一つではありません。税金の壁、住民税の壁、社会保険の壁があり、それぞれ「収入」の数え方も違います。この記事では、2026年9月時点の制度を、医療職のパートの時給に当てはめて整理します。

2026年の主な壁は5つ

給与収入だけの場合。出典: 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(2026年4月)、国税庁 No.1191・No.1195、日本年金機構の案内、各市区町村の案内
壁何が起きるかいつから
約103〜110万円住民税がかかり始める(住んでいる市区町村で違う)2026年度分(2025年の収入)の目安
130万円家族の社会保険の扶養から外れ、自分で国民年金・国民健康保険などに入る従来から。2026年4月から契約内容で判定
136万円家族が配偶者控除・扶養控除を受けられなくなる(配偶者は特別控除に切り替わる)2026年分から(2025年分は123万円)
178万円自分に所得税がかかり始める2026年分・2027年分(2025年分は160万円)
週20時間従業員51人以上の会社などで、自分が社会保険に加入する106万円(月8.8万円)の要件は2026年10月に撤廃予定

税金の壁:178万円と136万円

所得税がかからない上限は178万円に

給与収入だけの人が所得税を払わずにすむ上限は、2024年分までの103万円から、2025年分は160万円、2026年分と2027年分は178万円になりました。178万円は2026年12月1日に施行される税制改正(令和8年度改正)によるもので、2026年11月までの毎月の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整でまとめて反映されます。

2028年分からは、物価に合わせて2年ごとに見直すしくみが入ります。2028年分以降の上限がいくらになるかは、まだ決まっていません。

出典: 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(2026年4月)、国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(2026年5月)

税の扶養は136万円に

夫や妻、親が配偶者控除・扶養控除を受けられる年収の上限は、103万円 → 123万円(2025年分)→ 136万円(2026年分から)と上がりました。配偶者の場合、136万円を超えても配偶者特別控除に切り替わり、169万円までは控除額が満額(38万円)のままです。そこから段階的に減っていきます(夫や妻の所得が900万円以下の場合)。

出典: 国税庁 タックスアンサー No.1191・No.1195、国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」(2026年4月)

住民税は、もっと低いところから

住民税の基礎控除は43万円のまま変わっていません。そのため住民税は所得税よりずっと低い年収からかかります。2026年度分(2025年の収入が対象)では、単身の人は給与収入110万円以下なら所得割がかからず、均等割がかからない上限は住んでいる市区町村によって約103〜110万円です。「所得税はかからないのに住民税はかかる」という人が増えています。

出典: 武蔵野市・朝来市・吉野ヶ里町などの住民税の案内(2026年)。2027年度分の非課税の範囲は、編集部では確認できていません

社会保険の壁:130万円と週20時間

130万円(家族の扶養)は残る

健康保険の被扶養者・国民年金の第3号被保険者でいられるのは、年間の収入が130万円未満の人です(60歳以上などは180万円未満。19〜22歳は2025年10月から150万円未満)。税の壁と違って、この130万円は変わっていません。

2026年4月からは、判定のしかたが変わりました。労働条件通知書などの契約内容から見込む年収が130万円未満なら、原則として扶養に入れます。契約にない臨時の残業で結果的に超えても、社会通念上妥当な範囲なら扶養を取り消さなくてよいとされています(どこまでが妥当な範囲かの金額は示されていません)。

出典: 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱い」(2026年)

「106万円」は2026年10月に撤廃予定

いまは、従業員51人以上の会社などで「週20時間以上」「月額8.8万円以上(いわゆる106万円)」などの条件をすべて満たすと、自分が勤め先の社会保険に入ります。このうち月額8.8万円の要件は、2026年10月に撤廃される予定です(日本年金機構の案内)。撤廃後は、時給にかかわらず週20時間が目安になります。

会社の規模の要件も、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上と段階的に広がり、2035年10月になくなる予定です。

出典: 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」、厚生労働省「年金制度改正法の概要」(2025年)

医療職の時給で計算すると、どの壁が先に来るか

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2025年)では、パート(短時間労働者)の平均時給は看護師1,933円、准看護師1,624円でした。この時給で、それぞれの壁に届く労働時間を計算してみます。

編集部の試算。時給×時間だけで計算し、通勤手当・夜勤手当・賞与は含めていません。時給の出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(2026年)
壁看護師 1,933円准看護師 1,624円
130万円(社会保険の扶養)月約56時間
(週約13時間)
月約67時間
(週約15時間)
136万円(税の扶養、2026年分)月約59時間月約70時間
178万円(所得税、2026年分)月約77時間
(週約18時間)
月約91時間
(週約21時間)
週20時間働いたときの年収約201万円約169万円

看護師の平均時給なら、週13時間ほどで130万円に届きます。週20時間まではまだ余裕があるので、51人以上の病院でも勤め先の社会保険には入らないまま、家族の扶養だけ外れることになります。すると国民年金と国民健康保険を自分で払う「谷間」ができます。時給がおよそ1,250円を超える人は、この谷間に入りやすい計算です(130万円÷(週20時間×52週)≒1,250円)。

「178万円までは大丈夫」と考えてシフトを増やすと、先に130万円を超えてしまうことがある。医療職のパートでいちばん注意したいのはここです。

夜勤がある人、通勤手当がある人は

  • 夜勤手当・深夜割増は、税の収入にも、130万円の見込み年収にも入ります。1回16時間の夜勤なら、月4回で64時間。時給1,800円で計算すると夜勤手当を除いても年138万円になり、夜勤4回だけで130万円を超える試算です。
  • 通勤手当は、税の判定では非課税の範囲なら含めません。一方、130万円の判定では手当も含めた見込み年収で考えるのが基本です。たとえば通勤手当が月1万円なら、時給分は年118万円未満に抑える計算になります。扱いは家族が加入している健康保険に確認してください。

手当ごとの扱いは夜勤手当の税金と社会保険の記事で詳しく書いています。

どう決めるか

扶養の範囲で働くか、社会保険に入って働くかに、正解はありません。社会保険に入ると手取りは減りますが、将来の厚生年金が増え、病気やけがで休んだときの傷病手当金なども受けられるようになります。考えるときは、次の順番がおすすめです。

  1. 家族の勤め先の配偶者手当・家族手当に収入の条件があるか確かめる(壁は国の制度だけではありません)。
  2. 自分の勤め先の従業員数と、契約上の週の所定労働時間を確かめる。
  3. 時給と手当から、130万円に届く時間を計算しておく。
この記事の限界

ここに書いたのは2026年9月25日時点で確認できた制度です。住民税の非課税の範囲は市区町村で違い、健康保険組合や共済組合によって扱いが違う場合もあります。正確な判定は、勤め先、家族の勤め先の健康保険、税務署、市区町村に確認してください。表の時給は統計上の平均で、あなたの時給ではありません。

出典・参考資料

  1. 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)(国税庁、2026年)
  2. 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(国税庁、2026年)
  3. タックスアンサー No.1191 配偶者控除/No.1195 配偶者特別控除(国税庁、2026年9月確認)
  4. 従業員が家族を被扶養者にするとき/労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱い(日本年金機構、2026年)
  5. 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(日本年金機構、2026年)
  6. 年金制度改正法の概要/短時間労働者の社会保険の加入拡大のポイント(厚生労働省、2025年・2026年)
  7. 令和7年賃金構造基本統計調査(短時間労働者 職種別)(厚生労働省、2026年)
  8. 個人住民税の非課税限度額に関する案内(武蔵野市・朝来市ほか)(各市区町村、2026年)

この記事は2026年9月25日時点で確認できた資料にもとづいて書いています。制度や数字は変わることがあります。手続きや判断の前に、勤務先・税務署・年金事務所・自治体などの最新の案内をご確認ください。

この記事を書いた人

クーラ編集部

見学・お試し勤務で職場を選べるサービス「クーラ」の編集チームです。厚生労働省や日本看護協会などの公的な資料を読み、医療職の職場えらびに役立つことを書いています。数字には出典を、制度には「いつから」を添えます。わからないことは、わからないと書きます。

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